概要
*生まれつきの脳の機能的な特性による発達障害の一種
→根本的な「治療」によって特性がなくなることはないが、早期から適切な支援や
環境調整を行うことで特性に伴う困難さを軽減し、社会生活への適応を促すことが可能
*主な特徴は以下の2つの領域にわたる困難さ
1.社会的コミュニケーションと相互作用における持続的な欠陥
→言葉や非言語的なやりとりが苦手、感情共有の困難、対人関係の構築が困難等
2.限定された、反復的な行動、興味、活動
→特定の物事への強いこだわり、反復(常同)行動、感覚過敏または鈍感さ
*これらの特徴は、乳幼児期に明らかになることが多く、発達の早期段階からみられる
→知的発達の遅れを伴う人もいれば、高い知的能力を持つ人もいるが、
知的能力の有無にかかわらず、上記2つの特性は共通してみられる
*思春期や成人期になって、ASDの特性による対人関係の困難さやストレスから、
うつ病や不安障害、睡眠障害などを二次的に合併して精神科を受診するケースもある
発生機序・メカニズム
*発生機序は完全に解明されていないが、遺伝的要因が大きく関与し、それに様々な
生物学的要因が複雑に絡み合って発症すると考えられている
遺伝的要因
*非常に遺伝的影響が大きいと考えられている
※一卵性双生児の一方がASDである場合、もう一方の罹患率は70~90%と非常に高い
*特定の単一遺伝子で発症するわけではなく、複数の遺伝子が複雑に組み合わさって
発症リスクを高めると考えられている
*数百ものASD関連遺伝子が報告されており、これらの遺伝子が脳の発達や機能に
影響を与えられると考えられている
脳の構造と機能の異常
*脳の特定の領域の構造や機能に特徴が見られることが、脳画像研究などで報告されている
*社会脳の機能異常
→他者の感情や意図を読み取る、感情を理解するといった社会的コミュニケーションに関わる
脳領域の活動や連結に特徴がみられる
*神経回路の異常
→脳内の神経細胞同士の連結の形成や剪定に異常がある可能性が指摘されている
→情報処理の過剰な連結や、逆に連結不足が生じ、感覚過敏や特定のこだわりといった
特性につながると考えられている
*脳の成長
→乳幼児期に脳の特定の領域(特に前頭葉)が一時的に過剰に成長し、その後に
成長が鈍化するといった特徴が報告されている
神経伝達物質の異常
*脳内の神経伝達物質(セロトニン、ドパミン、GABA、グルタミン酸など)の
バランスの異常がASDの特定の症状(不安、衝動性、常同行動など)に関する
可能性が示唆されている
その他の関連要因
*周産期の要因
→低出生体重、早産、周産期の合併症なども、ごく一部ではあるが発達リスクに
関連がある可能性が指摘されているが、直接的な原因ではない
*胎児期の要因
→胎児期の脳の発達段階における何らかの要因(遺伝子と環境など)が関与している
可能性も示唆されている
ASDは親の育て方や家庭環境が原因で発症するものではない。
生まれつきの脳機能の特性であり、その多様な特性を理解し、
適切な支援を提供することが重要!
