ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)

病気と治療薬

特徴

*アルドステロン分泌も抑制し、体液量低下にも寄与する
  →心保護作用

*慢性腎臓病(CKD)患者に対する降圧治療においては「ACE阻害薬またはARBを第一選択とする」
 としている
  ※『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018』より

*①心不全、②糖尿病、③痛風などの合併症がある場合にもよく使われる
  ①心臓のリモデリングを抑制する作用があるため(心肥大抑制効果もある)
  ②腎臓の機能が低下しやすくなるため腎臓への血流を調整することで腎機能の悪化を防ぐため
  ③尿酸の再吸収を抑制し血中の尿酸値を低下させる作用がある(ロサルタン、イルベサルタン)

*降圧効果・臓器保護効果に関してはACE阻害薬とほぼ同等ととらえて問題なし
  ※書籍により若干異なる(同等かやや弱い、やや強いの表記)

*効果発現までに1ヶ月くらいは様子を観察する必要がある

*妊婦に禁忌

*エナラプリルと各ARBの降圧効果の比較
 オルメサルタン>エナラプリル>テルミサルタン=バルサルタン=カンデサルタン>ロサルタン

*ACE阻害薬やARBを含む十分な標準治療にアリスキレン(ラジレス)を併用した場合、
 腎障害または腎機能低下を伴う2型糖尿病を合併した高血圧患者で、非致死性脳卒中、
 腎合併症、高カリウム血症、低血圧のリスクが高まる可能性が示唆された
  →糖尿病を合併している高血圧症患者に対してアリスキレンとACE阻害薬・ARBとの併用禁忌

*ACE阻害薬やARB+利尿薬:効果の増強が認められている

*代謝
  ・ほとんどのARBは肝臓(CYP2C9)で代謝される
    →ロサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、アジルサルタン
  ・テルミサルタンはほとんどが糞便中排泄であるため腎機能障害時でも安心して使用できる

ACE阻害薬との違い

*空咳の心配が少なく飲み続けやすい

*血管トラブルの予防効果について大きな違いはない

適応:ほとんどの薬が「高血圧症」のみ
  ※カンデサルタン(ブロプレス)の慢性心不全に対する使用は、「ACE阻害薬投与による
   前治療が行われていない患者における本剤の有効性は確認されておらず、ACE阻害薬から
   切り替えて投与することを原則とする」という注意書きがある

相互作用

*血清カリウム値が上昇
  →K保持性利尿薬

*腎機能障害、高カリウム血症、低血圧
  →アリスキレンフマル酸塩、ACE阻害薬

*リチウム中毒
  →炭酸リチウム

*本剤の作用が減弱、腎機能が悪化
  →非ステロイド性消炎鎮痛薬

副作用

*重大な副作用
  →血管浮腫、肝機能障害、低血糖、横紋筋融解症、重度の下痢など

*降圧によるめまい・ふらつき・頭痛

*血清カリウム値上昇
  →手足のしびれ、手足の脱力や麻痺、筋肉の衰えなど
  ※K保持性利尿薬との併用では特に注意

*浮腫、動悸、そう痒、発疹、貧血、血小板数減少、血清クレアチニン上昇、血清CK上昇など

代表的な治療薬

*カンデサルタン(ブロプレス)
  →高血圧症以外に慢性心不全(軽症~中等症)の適応をもつ
    ※12mgのみ慢性腎不全の適応はない
   食事の影響を考えなくてよい
   代謝:CYP2C9

*ロサルタン(ニューロタン)
  →トロンボキサンA2受容体抑制効果や尿酸排泄促進作用を有する
   高血圧症以外に蛋白尿を伴う2型糖尿病における糖尿病性腎症の適応をもつ
    →腎臓への血流を調整することで腎機能の悪化を防ぐ
   尿細管での尿酸の再吸収に働くURAT-1阻害作用を有するため尿酸排泄促進作用がある
   消失半減期は最も短い
   代謝:CYP2C9、CYP3A4→シクロスポリンやGFJとの相互作用が報告されている
      フルコナゾール(CYP2C9阻害薬)との併用で本剤の血中濃度が上昇する可能性がある

*オルメサルタン(オルメテック)
  →AT1受容体に対して高い選択性と強い結合力を示すため末梢血管を広げて血圧を低下させる
   体内で速やかに活性型に変換され、作用発現が速い
   食事の影響を考えなくてよい
   代謝:脂溶性が低く、CYP450などによる代謝をほとんど受けずオルメサルタンとして排泄
    →薬物相互作用が少ない

*テルミサルタン(ミカルディス)
  →食事の影響を受けやすい(服用タイミングを一定にする:食前・食後)
   消失半減期が最も長い(21~38時間)
   ほとんどが糞便中(胆汁中)排泄であるため腎機能障害時でも安心して使用できる
   p-糖たんぱく質によりジゴキシンの薬物動態に影響を与えるため、
   ジゴキシンの血中濃度を上昇させるため併用時は注意が必要

*バルサルタン(ディオバン)
  →食事の影響を受けやすい(食後の最高血漿中濃度とAUCが約40%低下する)
    →服用タイミングを一定にする:食前・食後
   肝臓から胆汁中に排泄される
   代謝:CYP2C9(わずかに関与)→薬物相互作用が少ない
      シメチジンとの併用においてバルサルタンの最高血漿中濃度上昇

*イルベサルタン(イベルタン)
  →尿細管での尿酸の再吸収に働くURAT-1阻害作用を有するため尿酸排泄促進作用がある
   代謝:CYP2C9、CYP3A4→シクロスポリンやGFJとの相互作用が報告されている
      フルコナゾール(CYP2C9阻害薬)との併用で本剤の血中濃度が上昇する可能性がある

*アジルサルタン(アジルバ)
  →従来のARBに比べて降圧効果が高く、Ca拮抗薬とほぼ同等
   食事の影響を考えなくてよい
   代謝:CYP2C9
   主な用法用量:20mgを1日1回投与
   Tmax:約2時間
   作用の持続時間:約24時間

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